あなたに預けたもの
あなたへ ねぇ、あなた これ、どうしたら良いのかな あなたへお線香をあげながら、 あなたの顔を見つめながら、 あなたの場所を掃除しながら、 視界の隅に映るその存在を確認しながら、 結局、どうしたら良いのかが分からずにいるのは、 あなたに預けたままになっている例のもの。 これをあなたに預けたのは、忘れもしません。 あのことがあったからでした。 お母さん、何も感じない? 本当に? 大丈夫? 帰宅したあの子が、ただいまの挨拶よりも先に、 矢継ぎ早にこんな質問をしてきたのは、 専門学生1年生だったある日のこと。 心霊スポットへ連れて行かれてしまったのだというあの日のあの子は、 そこで起こった恐怖の現象…